特選!ハイボールコラム
2024.2.9
沖縄
頂店探訪
今回歩いたのは、沖縄県那覇[沖縄ハイボール酒場 玉らん]
沖縄・那覇を歩いた人
- 地球の歩き方
- 『沖縄』プロデューサー
- 清水裕里子
千葉県出身。お酒をこよなく愛し、旅先ではその土地の銘酒やグルメを堪能するとともに、地域の人々と交流し、現地ならではのおもてなしに触れることを旅のモットーとする。沖縄LOVERでもある。
表通りから路地裏に迷い、東南アジアを体感する
空港を出て那覇の街に向かうゆいレールの駅へと歩く。「南国に来たなあ」と思うが、それは暖かさだけではなく、光の質感の違いで感じたことだった。地球の歩き方的に言うと東南アジアを感じる雰囲気だ。実際、那覇は日本の首都東京よりもフィリピンの首都マニラに距離が近い。那覇を代表する観光地である国際通りは、国内外の観光客で昼も夜も混雑している。2023年に新装開業した公設市場も大にぎわいだ。市場の先をさらに歩くと、観光客の姿はめっきり減って、昭和のようなレトロな空気が濃厚になる。地元のお年寄りを多く見かけるようになり、いつの間にかのんびりとした雰囲気にあたりは包まれている。国際通りからほんの10分も歩けば、観光地ではない沖縄がある。あてもなく街中を歩いている時、うす暗い裏路地を抜けると、急に陽光が刺すように注いだ。あれはバンコクだっだか、マニラだったか……。一瞬、ふと別の国の路地にいるような感覚にとらわれた。那覇の光は東南アジアのそれと同じだった。
那覇で訪れたいスポット
国際通り
ゆいレール県庁前駅と牧志(まきし)駅の間に続く約1.6㎞の通り。土産物店や飲食店などが軒を連ねる那覇随一の観光スポットとして知られる。太平洋戦争末期の沖縄戦で焦土と化したが、戦後、闇市が広がり、映画館「アーニー・パイル国際劇場」が開館。通りの名は同館にちなんだとされる。その後、通りは大繁華街となり、沖縄復興のシンボルとして「奇跡の1マイル」と称されるようになった。1マイルは通りの長さで、約1.6㎞だ。
[DATA]
住所:沖縄県那覇市松尾1丁目~安里1丁目
アクセス:ゆいレール県庁前駅または牧志駅下車すぐ
時間:店により異なる
定休日:店により異なる
公式サイト
第一牧志公設市場
国際通りのほぼ真ん中、南へ続く市場本通りの先に2023(令和5)年3月、新装開業した。鮮魚、精肉や雑貨店など1階に約70軒入り、2階は食堂が並ぶ。1階で食材を選び、2階で調理してもらう「持ち上げ」が人気(調理代は料理により異なる)。南国ならではの色鮮やかな魚が店頭に並ぶ。1950(昭和25)年に開業し、市民の台所として親しまれてきた。1969(昭和44)年に第二市場が開設されたため(2001年閉鎖)、第一という名前がつけられている。
[DATA]
住所:沖縄県那覇市松尾2-10-1
アクセス:ゆいレール牧志駅から徒歩9分
時間:8:00~22:00(店により異なる)、2階食堂はL.O.20:00
定休日:第4日曜(12月は毎日営業)、正月、旧正月、旧盆(店により異なる)
公式サイト
波の上ビーチ
ゆいレール県庁前駅から北へ、松山通り、若狭中通りを歩き、若狭の駐車場手前の標識にしたがって左へ進むと、公園の先に海が広がる。海岸の先には道路の橋が架かっているものの、海の色はエメラルドグリーン。大都市の一角にあるとは思えないほど、波が静かに寄せる穏やかな場所だ。4月から10月は海水浴客でにぎわい、遊泳できない季節でも日光浴や散策を楽しむ人の姿が見られる。波の上ビーチは、波の上うみそらビーチ、若狭海浜公園などを含む那覇ビーチリゾートの一部となっている。
[DATA]
住所:沖縄県那覇市若狭1-25
アクセス:ゆいレール県庁前駅から徒歩20分
時間:遊泳時間 4~6月、9月、10月9:00~18:00、7~8月9:00~19:00
公式サイト
那覇で訪れたのはこちらの店
沖縄ハイボール酒場 玉らん
ユニークな空間で味わう島らっきょう
ゆいレール美栄橋駅から北へ向かい国道58号線を西に歩くと、5分ほどで右手のビルに「沖縄ハイボール酒場」の大きな文字が現れる。1階の姉妹店の中にある階段を上ると「玉らん」の入口だ。店はかなり広い。梁がむき出しになった天井にはたくさんのシャンデリア。カウンターが奥まで続いていて、手前にある大きな樽の中には個室スペースがある。きらびやかな照明と鏡張りの壁がなんとも不思議な雰囲気を作っている。地球の歩き方『沖縄』担当で、いろいろな店を取材してきた清水にも、この異空間はなかなか新鮮だ。さっそく大きなカウンター席で、ハイボール片手に沖縄ならではの味を楽しませてもらうことに。
「安定の味ですね。梅だれともよく合います」カウンターの清水が味わっているのは、島らっきょう。シャキシャキとした食感は、まさに沖縄の味だ。だが、「今はなかなかなくて、価値が上がっているんですよ」と店長の上原透さんは嘆く。全国的に島らっきょうの人気が高まっていることもあり値段は上がる一方で、島らっきょうそのものも生産量が追いつかない状況のようだ。気軽に楽しんでいた沖縄の味覚も、その人気ゆえに口にするのが難しくなることもあるのかもしれない。
もずく本来の味を満喫
沖縄名物のもずくも、いまや全国的に人気が高い。「衣が薄くてサクサクですね。これがもずく本来の味なんですねぇ」そう感心しながら、清水は心地好い音をたてながら、もずくの天ぷらを味わっている。もずくの天ぷらと聞くと、衣が厚い印象を抱いていたが、ここの天ぷらはもずくがたっぷりで衣はほとんどなく、ひとつひとつがとても大きい。もずくの概念までが変わってしまうかのような食感で、最後に海の香りが感じられる。続いて出てきたのは、こちらも定番人気のゴーヤチャンプルー。「あ、結構あっさりとしているんですね。だしの味がとてもおいしいです」清水の感想のとおり、意外とさっぱりと食べられ、ゴーヤのクセもない。ハイボールにもよく合うが、ご飯も食べたくなる一品だ。「こちらも食べてみてください」上原さんが海ぶどうを出してくれた。頬張った海ぶどうは新鮮そのもの。プチプチとした食べ応えに、思わず笑みが漏れる。島らっきょう同様、海ブドウも全国的に需要が高まっているようで、生産がなかなか追いつかないらしい。ただし保存が難しい食材なので、本当に新鮮でおいしいものを味わうなら「沖縄に来るべき」と上原さん。
沖縄最後の夜を惜しみつつ
「わざわざ来てくれるお客様が多いですね」お客の顔ぶれを聞くと、上原さんはそう話した。店はゆいレールの駅から近いため、沖縄で過ごした人たちが最後に寄ってくれるという。「沖縄本島や島に行っていた人も、帰りは那覇に滞在して空港に向かうようです」「沖縄で最後の夕べを惜しみつつ、ハイボールと料理を味わう。なんだか、いいですねぇ」清水は残り少なくなったゴーヤチャンプルーをゆっくりと味わいながら、上原さんに話している。最寄駅から空港までは15分ほどで到着する。近いだけに、かえってぎりぎりまで店にいてしまう人もいるのではないだろうか。あぐー豚、グルクン唐揚げ、タコライスに鮮魚の刺身など、数々あるメニューを眺めながら、そう考えた。もう一品、もう一品と注文してしまっても不思議ではないだろう。店のオープンと同時に4人組の男性グループが来店して、奥のテーブルで宴会が始まった。まあ沖縄最後の夕べかどうかは、わからないけれど。
店主おススメの頂店ハイボールのアテ!
※値段はすべて税込み
〈おススメ①〉
島らっきょう 650円
泡盛と塩に軽くつけている。らっきょうが脱水され、泡盛が入っているため、ふんわりと泡盛の香りも感じられる。シャキシャキとした歯ごたえだけではない、オリジナルの風味も楽しめる逸品となっている。そのまま定番の味を楽しむのもいいし、添えられた梅だれにつけてシャープに変化した味を試してみるのもおすすめ。
〈おススメ②〉
ゴーヤチャンプルー 600円
たっぷりと入ったゴーヤはくせがなく、苦手な人でもおいしく食べられる。ふわふわな卵と大ぶりのスパムが、あっさりとしただしの味でまとまっていて、あきることがない味わいに仕上がっている。スパムそのものの風味も強く感じられる。ほかにも、フーチャンプルー、イカスミソーメンチャンプルーなどもある。
〈おススメ③〉
もずく天ぷら 650円
直径10㎝ほどの天ぷらが4枚。圧倒的なボリューム感に驚かされる。厚い衣をまとったもずく天ぷらが多い中、ほとんど衣がついていないような見た目で、揚げられたもずくのサクサクとした食感が新鮮に感じられる。そのままでも、もずく本来の味が楽しめるし、塩をつけて食べるともずくの風味が引き立てられる。
清水の取材メモ
もずく天ぷらやゴーヤチャンプルーなどの“おきなわんソウルフード”は、炭酸強めな「頂点ハイボール」と相性抜群! ゆいレール美栄橋駅や国際通りからもアクセス至便なので、ラストデイに一杯飲んでから帰るのもオススメ。
訪れた頂店
- 沖縄ハイボール酒場 玉らん
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