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特選!ハイボールコラム

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2024.2.9

神奈川

頂店探訪

今回歩いたのは、神奈川県小田原[海鮮問屋ふじ丸小田原駅前店]

神奈川・小田原を歩いた人

  • 地球の歩き方
  • 部長
  • 宮田崇
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自分の旅の原点は両親に連れられて訪れた神奈川県の観光地。なかでも小田原城にあった動物園のアイドル、ゾウのウメ子が大好きで、母親にせがんで頻繁に訪れていた。

変わりつつある観光地としての小田原

江戸の昔、東海道の9番目の宿場である小田原宿までは、日本橋から少なくとも2日はかかった。現在ではJR東海道線で東京から約1時間20分、東海道新幹線に乗れば約30分で小田原だ。この街は小田原城の城下町として発展したところ。新幹線の駅があることでもわかるように、昔からここは交通の要衝でもあった。とはいえ城の周辺を除けば、城下町を感じさせるものはそれほどなく、箱根への玄関口といえる場所に位置しているものの、旅行者の多くは直接箱根へ向かっていた。2020(令和2)年、小田原駅に隣接した複合施設「ミナカ小田原」がオープンした。ミナカとは真ん中を意味する古語だ。ミナカ小田原にはホテルも入っていて、14階の屋上には無料の足湯施設があり、ここから小田原城が眺めることができる。江戸情緒を感じさせるような商業施設には40以上のショップや飲食店があって、たくさんの旅行者で賑わっている。一方で図書館などの公共施設もあるので、市民も多く利用している。かつて街道を行き交う多くの人たちが集まった小田原宿の、新しい交流の場ともいえるスポットになっている。海にも近く、温泉もあり、「小田原おでん」など、名物も多いこの街は、もともと観光面で大きなポテンシャルがあるところ。変わりつつある街のこれからが楽しみだ。

小田原駅東口駅前から。小田原城の天守が見える

かつての宿場町の雰囲気を再現したミナカ小田原の「小田原新城下町」

小田原で訪れたいスポット

小田原城

小田原駅からお堀端通りを歩き、堀に架かる赤い学橋、または少し先の馬出門土橋から二の丸へと入ることができる。正面入口は馬出門土橋。駅に近い北入口、海側の南入口もある。城が築かれたのは15世紀半ばと考えられ、1500年頃、北条氏の居城となってから次第に拡張整備され、日本最大級の中世城郭に発展した。現在の天守閣は1960(昭和35)年に復興されたもの。城内では小田原の歴史が展示され、5階の展望デッキからは街が一望できる。

青空に映える白い城。城址公園は桜の名所としても知られる

天守の展望デッキから太平洋を望む

[DATA]
住所:神奈川県小田原市城内
アクセス:JR小田原駅から徒歩10分
時間:9:00~17:00(16:30入館締切)
休館日:12月第2水曜、12月31日、1月1日
公式サイト

小田原かまぼこ通り

小田原城の堀の先にある御幸の浜交差点から東へ続く旧東海道とそれに並行する1本海側の通りには、かまぼこ店など昔から小田原を代表してきた店が点在する。端から端までは徒歩20分ほど。本町3丁目にある鱗吉(うろこき)は、小田原かまぼこ発祥とされる店。囲炉裏を囲んで酒とかまぼこを楽しめるところも。かまぼことビールなどを買い、近くの浜辺で海を眺めながら味わうということもできる。旧東海道には休み処の小田原宿なりわい交流館が建っている。

旧東海道に面して建つ小田原宿なりわい交流館

[DATA]
住所:神奈川県小田原市本町
アクセス:JR小田原駅から徒歩15分
時間:店により異なる
定休日:店により異なる
公式サイト

御幸の浜

小田原城へ向かうお堀端通りをそのまま直進すると海に出る。浜辺の上には西湘バイパスが走っている。現在は海水浴場として夏ににぎわうが、かつては船方(ふなかた)村と呼ばれる漁村で、大量のブリが水揚げされ、活気であふれていたという。1873(明治6)年、明治天皇と皇后がそろって、この浜辺で漁夫の地引網を見学されたことから、御幸(おさち)の浜と呼ばれるようになった。景色が良く、西には伊豆半島、東には三浦半島が眺められる。

砂浜ではなく小石が堆積した海岸

[DATA]
住所:神奈川県小田原市本町3丁目
アクセス:JR小田原駅から徒歩20分
時間:自由
定休日:無
公式サイト

小田原で訪れたのはこちらの店

海鮮問屋ふじ丸小田原駅前店

階段を上って2階が店の入り口。格子の引き戸に大きな「ふじ丸」の看板

こだわりの小田原漁港直送地魚に感動

「うわー、いいなぁ」店へ入るなり宮田は小さな叫び声をあげた。「これぞ、ザ・居酒屋という雰囲気で大好きです」目の前には古い漁船をかたどった席があり、その舳先(へさき)に置かれた水槽ではアジが泳いでいる。右にはカウンター、奥には畳が敷かれた部屋がありテーブル席が並ぶ。天井や壁にはメニューが書かれた紙がびっしりと吊るされている。かわいい魚などのイラストが描かれていて、ほっこりとした気分になる。カウンターに陣取った宮田は、創業40年の伝統を誇る人気メニュー「和牛の土手煮込み」に集中していた。やわらかな牛肉はこってりとした濃厚な味わいにもかかわらず、くどいところはなく、どんどんと箸が進む。「いやいや、このまま食べ続けてしまうから、いったん箸をおきます」笑いながらハイボールをくびりと飲む宮田。この煮込みも定番の大人気メニューのひとつだが、ほとんどのお客が求めてくるのは、ふじ丸の魚だ。

店内に置かれたサザエの殻が漁港の雰囲気を醸し出す

生きのいいアジが泳ぐ水槽には、ほかにも貝や別の魚も

一番人気、夢の海鮮盛り

登場したのは「夢の海鮮盛り」と「あじフライ」。店長の和田亮一さんは「地魚は小田原漁港から厳選したものを直送しています」と話す。シロダイを味わった宮田。「うん、弾力がぜんぜん違います。甘みも強いですね」メダイ、スズキなども身がしっかりとしていて、活きの良さが箸の先から伝わってくる。「夢の」とメニュー名につけられているとおり、本当に贅沢な逸品だ。あじフライも厚みがあって、身のふわふわ感がたまらない。あじは小田原名物のひとつ。今回はフライのおいしさを堪能させていただいたが、活アジは店内の水槽を泳ぐアジをさばいているので、これ以上新鮮なものはない。「ほとんどのお客様は活アジが目当てで来ていただいていますね」と和田さん。そのほか、伊豆下田産からは金目鯛を仕入れ煮付けにするなど、とにかく魚にはとことんこだわっている。海鮮盛りのひとつに梅クラゲがあった。「曽我の梅を使ったものです」と和田さんは教えてくれた。

魚についてのこだわりを語ってくれた和田さん

旬の新鮮な魚で「夢の海鮮盛り」を作る

名物のアジフライもぜひとも試したいメニュー

小田原推しの編集部

「曽我の梅とは?」と聞くと、「小田原の有名な梅ですよ」と宮田。宮田は横浜出身で、小田原にもよく遊びに来ていたという。小田原北東部に曽我梅林が広がり、梅は江戸時代から知られていたとされる。食べると、昔ながらの酸っぱさだが、後から甘みも感じられた。店では梅サワーなどもすべて曽我の梅を使っている。小田原の話で盛り上がっている宮田と和田さん。「高校の後輩が外国人向けの一軒家の宿を小田原で始めたんです」と話す宮田に、「それ、うちの駐車場の目の前です」と和田さん。思わぬ偶然に大爆笑となる。「地球の歩き方としては、小田原推しです」箱根は宿が充実しているものの店が少ない。箱根の玄関口の小田原には、店が多いし見どころも多く、東京からのアクセスもいいと宮田は話した。「もっと多くの方に街を知っていただけるとうれしいです」と和田さんも同意する。和田さんと宮田は小田原の魅力についていつまでも語り合っていた。

小田原の観光について、魚について、話が尽きない店長と宮田

店主おススメの頂店ハイボールのアテ!

※値段はすべて税込み

〈おススメ①〉
夢の海鮮盛り 1680円

刺身の内容は仕入れによって変わる。この日は、左奥からメダイ、シロダイ、スズキ。右にイサキなど。地魚は小田原漁港、そのほかも各地から直送していて、どれも新鮮さにこだわっている。メニューには「注文せずに帰るなんてありえない」と書かれているほど。LINE会員になると値段が1380円になる。

小田原漁港直送の一番いい魚を少しずつ、たくさんの種類が味わえる夢の一品

〈おススメ②〉
あじフライ 480円

小田原名物のひとつであるアジ。身の厚みにも唸ってしまうが、フライが2枚でこの値段というところにも驚く。ひと口食べると身の厚さを改めて実感し、そのふわっとしたやわらかい食感に感激。今までのあじフライでは物足りなくなりそうに感じてしまう。酒のアテとしてだけではなく、ご飯も食べたくなる逸品だ。

ハイボールとの組み合わせを考えるなら、一番の選択肢はこれだ!

〈おススメ③〉
和牛の土手煮込み 580円

創業以来の伝統を守り続けている煮込み料理の人気商品。たっぷりの和牛が味噌ベースの秘伝のたれでじっくりと煮込まれ、深く濃厚な味わいとなっている。それでいて、後味はしつこくないので、どんどんと食べ続けたくなる。ハイボールとの相性が最高なのは言うまでもない。「あつあつ和牛肉豆腐」(580円)もおすすめ。

箸が止まらない人気の一品

宮田の取材メモ

土手煮込みは夢中で食べてしまいました。刺身のうまさにも感激です。料理の味は当然すばらしかったですが、店の雰囲気が最高でしたね。後輩の宿を和田さんが知っていたことにもびっくりです。その後輩を連れて、また来ます!

訪れた頂店

  • ふじ丸 小田原駅前店

頂店情報を見る

ジョッキで乾杯-左側 ジョッキで乾杯-右側 ビールの泡