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特選!ハイボールコラム

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2023.12.18

北海道

頂店探訪

今回歩いたのは、北海道札幌 [港町のモンキチ北口店]

北海道・札幌を歩いた人

  • 地球の歩き方
  • 『北海道』プロデューサー 
  • 今井 歩
歩いた人の画像

横浜出身。タイやベトナムなどの海外旅行ガイドブック、神社仏閣の御朱印を紹介する「地球の歩き方御朱印シリーズ」なども担当している。北海道のおいしいものに目がない。

新幹線開業に向けて変わりつつある街の顔

北海道新幹線の札幌までの延伸に向けて、街は大きく変わりつつある。駅周辺を中心に街のいたるところで新しいビルが建設されている。ただ、札幌のゆったりとした街の雰囲気はそれほど変わっていない。新千歳空港から札幌へ向かう電車からの眺めは、やはり本州とはかなり違った印象だ。林には白樺が目立ち、ササの野原が広がっている。もちろん、家並みも広がっているものの、道路の幅が広いためか、高い建物が少ないためか、どこか大地の雄大さが感じられる。それは札幌でも変わらない。雪が積もる冬を基準につくられた街は、雪がない季節に訪れるとどこか間延びしたような広さにも思える。距離感の感覚も微妙に違うように感じられる。そんな違和感を楽しむのも旅の醍醐味のひとつだろう。さっぽろテレビ塔など高い場所から一望すると、山がすぐ近くにあるなど、街の顔が見えてくる。変わりつつある札幌を実感しながら、昔のまま残る名所、新しく登場した見どころをめぐってみよう。

花壇が美しい大通り公園

テレビ塔から市街地を眺める

札幌エリアで訪れたいスポット

北海道大学

正門まではJR札幌駅から近いが、キャンパスは約177haと広大。1876(明治9)年に開設された札幌農学校が前身で約1万7000人の学生が在籍する(2023年5月現在)。正門から徒歩約13分の場所にあるポプラ並木は約300m続く大学を象徴する風景。2004年の台風で倒木被害を受けたが、その後に植樹された木が育っている。300万点以上の学術標本を収蔵する総合博物館は建物そのものも見どころ。近くにはクラーク博士の胸像もある。

建物にも威厳を感じる博物館。学舎前の自転車置き場に北大らしさを感じる

クラーク博士の胸像。“BOYS BE AMBITIOUS”の文字も

[DATA]
住所:北海道札幌市北区北8西5
アクセス:JR札幌駅から徒歩7分
時間:構内見学自由
定休日:無休
[公式サイト]

さっぽろテレビ塔

札幌のメインストリートである大通公園の東端に立つ。東京タワーより2年早い1956(昭和31)年の建設。高さは約147m。3階で入場券を購入し展望台へと上がる。人気キャラクター「テレビ塔さん」を祀った神社などのほか、土産店が展望台にある。山が近くにある札幌の地理やビル建設が進む現在の様子などがよくわかるほか、夜景のすばらしさも楽しめる。地下には昭和の雰囲気が残るグルメコートがある。

札幌を訪れたらまずここに上って街を眺めたい

[DATA]
住所:北海道札幌市中央区大通西1
アクセス:地下鉄大通駅から徒歩1分
時間:9:00~22:00(最終入場21:50)
定休日:年に3回ほど点検のため休業
[公式サイト]

札幌市中央卸売市場場外市場

地下鉄二十四軒駅やJR桑園駅から徒歩10分弱、車では札幌駅から約15分、札幌中央卸売市場(一般見学不可)の横に広がる。さまざまな種類のカニをはじめ新鮮な魚介類が豊富にそろっているが、果物や野菜なども多い。北海道の食材の豊かさが実感できる人気の観光スポットのひとつ。全国配送も1日4回の配送便でできるため、安心して買物が楽しめる。食堂やレストランでは新鮮な魚介類を心ゆくまで味わうことができる。

海産物だけでなく、北海道の野菜や果物も

[DATA]
住所:北海道札幌市中央区北11条西21丁目1-7-214
アクセス:地下鉄東西線二十四軒駅から徒歩7分
時間:6:00~17:00(飲食店は7:00から。店舗により異なる)
定休日:年中無休
[公式サイト]

札幌で訪れたのはこちらの店

港町のモンキチ北口店

地下にありながら路面店のような造り

ザンギとから揚げの違いとは

「え? 違いですか?」目を丸くしている今井に店長の布施雄大さんが答えた。「から揚げは衣に味をつけますが、ザンギは鶏肉に味付けするんです」最近は東京など北海道以外でも居酒屋メニューなどで見られるようになってきたザンギだが、「北海道でのから揚げの呼び方」と思っている人は少なくないのではないだろうか。この店のザンギの鶏肉は、しょうゆベースにしょうがやニンニクなどともに全卵を混ぜた液に半日以上漬け、それを5分揚げ1分休ませ、また3分揚げている。「味がしっかりしていて、ふわっと広がる感じです。最高にハイボールに合いますよ」今井は「こんなの初めてです」とザンギを絶賛しながら、ハイボールをごくりと飲んだ。もちろん、布施さんがしている仕込みは、もっとたいへんなものだろう。同じザンギでも、同店のザンギは格段に濃厚な味わいでありながら、いくつでも食べたくなるような魅力、いや魔力がある。お酒が何杯でもいけそうな気になってしまう。

ハイボール1杯目はザンギの蘊蓄を聞きながら

カニとコロッケの驚嘆コラボ

続いて出てきた料理にも今井は驚きの笑いを隠せない。その名も「バズってしまったズワイ蟹たっぷりグラタンコロッケ」。コロッケの上に蟹味噌のタルタルソースがのり、その上にズワイ蟹の身が山盛りになっている。「蟹の身とソースとコロッケを一緒に食べてください」布施さんの言葉どおり口に運んだ今井は、「うわっ」とささやいたまま言葉を失ってしまった。このメニューを目当てに店にやってくる客も少なくないという。前の月には500個出たというから、こちらも唖然としてしまう。だが、この料理を求める気持ちはよくわかった。単に豪華なだけではなく、コロッケとズワイ蟹をソースが見事に調和させ、まったく新しい味の世界を実現しているのだ。これは決して誇張ではないので、ぜひ試していただきたい。どうやって開発したのか? そう尋ねると、「店員みんなでアイデアを出し、試行錯誤を重ねました」と布施さんは答えた。

申し訳なくなるほどカニたっぷりのコロッケ

お客が笑顔になることを考え続けて

そう言うのは簡単だが、実際はとてもたいへんなことだろう。同店はさりげないところに、たくさんの工夫がされている。豪華な刺身もいただいたが、しょうゆは「あっさり」と「のうこう」が用意されている。「脂の濃厚な魚は『のうこう』しょうゆで食べるとおいしいですよ」あっさりとしたしょうゆだと、魚の脂がしょうゆに逃げてしまうと布施さん。さらに、わさびも一般的なものと山わさびが提供される。山わさびは山わさびをメインにしつつ、葉わさびと刻みわさびも加えた凝りようだ。「刺身をこんなにいろいろな食べ方で味わったことはありませんよ」今井は刺身の味わいがこれまでにないものだと満足している。「お客様にどう食べていただくか。とにかく、店員全員そのことを考え続けています」メニューのひとつひとつにその思いが感じられる。同店は看板を出していない。それでも連日お客はやってくる。今井のうれしそうな表情も、その理由を物語っているように見えた。

2種類の醤油で味比べ

料理のこだわりについてじっくりお話を伺いました

店主おススメの頂店ハイボールのアテ!

※値段はすべて税込み

〈おススメ①〉
角ハイ専用大判ザンギ2人前(2個)   528円

とにかくひとつが大きい。揚げるのに時間がかかるのはよくわかる。メニュー名にあるように、ウイスキーなど味の濃いお酒との相性もばつぐんだ。揚げたてがおいしいのはもちろんのこと、片栗粉を使っているため、冷めても硬くならず、おいしさはそのまま。カリッとした衣とやわらかい鶏肉を豪快に楽しみたい。

1個が大きく食べ応えある

〈おススメ②〉
バズってしまったズワイ蟹たっぷりグラタンコロッケ  748円

こちらもメニュー名のとおりで写真に撮りたくなる。店員みんなのアイデアで3年前から登場している人気商品。コロッケとズワイ蟹の絶妙な味のハーモニーはクセになってしまう。濃厚な蟹味噌タルタルソースが結びつける新しい味わいは、まさに新発見をしたかのような驚きを感じさせてくれる。

実物を目の前にすればバズる理由がよくわかる

〈おススメ③〉
刺身5点盛   770円

内容はその日の仕入れによって変わる。写真は奥からタイ、ブリ、サーモン、ホタテ、マグロ。親会社が魚屋をやっているため、仕入れや目利きは確かで信頼できる。本文で紹介したとおり、九州のしょうゆとはまた違った「たまり」のような濃厚なしょうゆもあるのは北海道では珍しい。万能七味も用意されている。

旬の北海道の味を楽しみたい

今井取材メモ

地球の歩き方北海道版の取材を通じ「北海道は人のあたたかさが特に魅力」と常に感じていましたが、こちらのお店でも実感。道産食材の知識と愛がある店主とお話ししながらハイボールがどんどん進んでしまいました。

席数が限られているのでぜひ予約して訪れたい

訪れた頂店

  • 港町のモンキチ 札幌駅北口店

頂店情報を見る

ジョッキで乾杯-左側 ジョッキで乾杯-右側 ビールの泡