特選!ハイボールコラム
2023.11.30
ハイボールの知識と技術
“頂店”の条件2 氷は山盛り<パタゴニア>
頂店ハイボールの条件
一つ. ジョッキは冷やす
一つ. 氷は山盛り
一つ. レモンは先に軽くしぼる
一つ. おいしいサントリーのウイスキー
一つ. 最強ガス圧の超炭酸
一つ. ウイスキーとソーダの黄金比1:4
一つ. 最適温1℃の冷たさで注ぐ
氷河の末端には何がある?
ハイボールに欠かせないもののひとつが氷だ。頂店ハイボールの店では、これでもか!というくらいの大量に氷をジョッキに投入する。一般家庭なら氷の量を心配してしまうが、お店なら大丈夫。透き通った氷の間を炭酸の泡が躍る景色は目にも涼やかだ。
たくさんの氷といえば氷河をイメージする人もいるだろう。地球温暖化のニュースがあると、巨大な氷河が崩れ落ちる様子をイメージ映像として流すことがある。もちろん温暖化で氷河が後退したり、消滅したりしているのは事実だが、あの映像を見て「大変だ、氷河が溶けている!」と思った人は、ステレオタイプに惑わされているかもしれない。温暖化だろうが、寒冷化だろうが、氷河の末端では常に氷は崩れていて、ドラマチックに見えるあの光景は日常の風景で、実はそれほど特別なものではない。
迫力ある氷河の崩落
氷河は読んで字のごとく「氷の河」。ゆっくりではあるが氷は動いている。動く速度は場所によって異なっているが、これは川の流れの速さが場所によって異なるのと同じだ。世界で一番速く動いている氷河はグリーンランド西部にあるヤコブスハブン氷河といわれており、その速さは1日約40m。この氷河の末端部はそのまま海に流れ込んでいる。氷が崩れる落ちる映像で頻繁に登場するのが南米パタゴニアにあるペリト・モレノ氷河だ。名前は知らなくても、その光景を見たことがある人は多いだろう。流れるスピードは1日約2mとそれほど早くないが、氷河の末端部は高さが水面から60mもあり、トコロテンのように後ろから押されて氷河の先端部分が湖に次々と崩れていく様子はとても迫力がある。
氷河を見に行こう
ペリト・モレノ氷河が頻繁にメディアで取り上げられるのは、迫力の映像だけではなく、この氷河が内陸にあってアクセスが容易なこと。氷河全体が見渡せる展望エリアへは大型バスでアクセスすることができて、クルーズボートで氷河に近づくことも可能。アメリカのアラスカ州も多数の氷河が眺められるところだが、海岸氷河は海が荒れると船がでない。その点ペリト・モレノ氷河は湖に流れ出すので、波が高くて出港できないというケースもない。氷河の見学には理想的なロケーションなのだ。
とはいえ南米大陸の最南端に近いパタゴニアは遠い。ペリト・モレノ氷河の最寄りの町エル・カラファテまで、成田から3回の乗り継ぎ(ロサンゼルス、ヒューストン、ブエノスアイレス)を経て所要38時間50分(待ち時間を含む)と、かなりの長旅だ。エル・カラファテから氷河までは車で1時間20分ほど。簡単に見に行ける場所にはないが、日本からのツアーも多数出ていてそのハードルは高くない。パタゴニアはダイナミックな地球の風景が眺められる人気スポットだ。
まずは山盛り氷のハイボールを飲みながら、「パタゴニアの風景」を検索してみよう。氷河だけでなく、野生動物、印象的な山々、どこまでも広がる草原。ジョッキの向こうにスケールの大きな絶景が現れる。
パタゴニアを旅しよう、という人には以下の読み物がおススメ
地球の歩き方 ガイドブック B22 アルゼンチン チリ パラグアイ ウルグアイ 2020年〜2021年版