特選！ハイボールコラム

2023.11.30

ハイボールの知識と技術

“頂店”の条件１　ジョッキは冷やす＜南極大陸＞

頂店ハイボールの条件

一つ.　ジョッキは冷やす
一つ.　氷は山盛り
一つ.　レモンは先に軽くしぼる
一つ.　おいしいサントリーのウイスキー
一つ.　最強ガス圧の超炭酸
一つ.　ウイスキーとソーダの黄金比1:4
一つ.　最適温1℃の冷たさで注ぐ

地球で一番冷たい場所

東京の猛暑日数が過去最高を記録した2023年７月は、世界気象機関（WMO）によると観測史上最も暑い7月だったという。キンキンに冷えたハイボールが美味しかったことを除けば、暑すぎる夏はあまりありがたくない。近年の気候変動では、極端に暑い場所が発生する一方で、極端な寒波に見舞われる地域もある。また干ばつや洪水など「極端な気象現象」が発生しているのが最近の特徴だ。ただ気候変動が頻繁に騒がれるようになる前から、地球上で極端な気象現象が見られる場所がある。極寒の南極だ。

南極海の氷山。写真を見るだけ寒さが伝わってくる

火星と同じ寒さ

南極が寒いことは誰もが知っていることだが、「北極だって寒いだろ！」と思う人もいるだろう。じつは北極点付近の夏７月の平均気温は0℃ぐらいで思ったほどは寒くない。これに対して、南極点付近の夏１月の平均気温はマイナス30℃。さらに北極点付近の冬１月の平均気温がマイナス30℃に対し、南極点の冬７月の平均気温はマイナス70℃。このように圧倒的に南極のほうが寒いのだ。

両極でこれほど差があるのはいくつもの理由があるが、大きな理由のひとつは標高だ。北極点の場所が海に浮かぶ厚さ10ｍほどの氷の上に対して、南極点は標高2835ｍ、厚さ約2700ｍの氷の上にある。これまでに記録された地球上の最低気温は、南極点よりさらに標高が高いロシアのボストーク基地で、1983年に記録されたマイナス89.2℃。この記録はギネスブックにも登録されている。ちなみにボストーク基地の年平均気温はマイナス55℃で、火星表面の年平均気温とほぼ同じ温度である。

アムンゼン・スコット基地の前にある南極点のモニュメント　©National Science Foundation

南極を旅する

極寒の氷に閉ざされた南極は、アドベンチャー、あるいはありきたりの旅に少々飽きてきたベテラン旅行者には憧れの場所だ。そして、じつは南極への旅のハードルはそれほど高くない。というのも南半球の夏の間、南極へのツアーが多数出ているからだ。多くは一番近い南米大陸の南端、アルゼンチンやチリを発着するクルーズで、往復で10日前後くらいのものが主流。日本からだと約2週間のツアーが100万円くらいからある。ニュージーランドからのツアーは、距離が遠いこともあり約１か月の日程。値段も上がって300万円～。大荒れの南極海を船で行きたくない、という人にはプライベートジェットでアクセスするものもある。こちらは8日間で1000万円とかなり高額。また南極点にあるアメリカの「アムンゼン・スコット基地」に、物資を搬入する輸送機に同乗して南極点を訪れる、なんていうツアーもある。こちらも費用は800万円以上とかなりお高め。とはいえ、毎シーズンたくさんの旅行者が南極の氷の世界を訪れている。