特選!ハイボールコラム
2024.2.9
新潟
頂店探訪
今回歩いたのは、新潟県新潟[縁]
新潟を歩いた人
- 地球の歩き方
- プロデューサー
- 金子久美
地球の歩き方ガイドブックでは、台湾やカナダ、トルコなどを担当。お酒が大好きで、365日晩酌は欠かせません。旅先では、おみやげに必ず現地のビールを持ち帰ります。
信濃川の右岸と左岸に繁華街がある新潟
新潟駅は現在20年近くにわたる大規模工事中。駅舎は新しくなり、さまざまな商店などが入っているが、北口の駅周辺の道路はまだ整備中で、すべてが終了するのは2024(令和6)年の予定だ。新潟市の中心は信濃川右岸の新潟駅周辺と左岸の古町周辺の大きく2つに分かれている。一般的に都市は駅周辺が一番栄えていて、駅から離れるにつれて寂しくなっていくものだが、新潟の場合は少し違っている。駅周辺もそれなりに賑やかだが、橋を渡って駅から2kmほど離れた古町周辺も同様に賑やかな繁華街になっている。街が港から発展していったことを考えれば不思議ではない。街の歴史が長いだけに、見どころも海に近い側に集まっている。昔のような雰囲気はなくなったものの、かつての新潟の風情が感じられる景色が点在しており、古町と海の間の西大畑界隈には、庭園が見事な屋敷が点在していて、300年続く料亭もある。路地を挟んだ料亭の向かいは西大畑公園となっているが、路地にはレンガ塀の一部が残っている。この塀、1971(昭和46)年までここにあった新潟刑務所のものだ。料亭と刑務所の間の道は「地獄極楽小路」と呼ばれている。
新潟で訪れたいスポット
新潟市水族館マリンピア日本海
JR新潟駅万代口(北口)から新潟交通バスに乗車して約20分。日本海を目の前にした林の中に水族館の建物が現れる。新潟市の水辺の環境を再現した「にいがたフィールド」を右手に見ながら館内へ入ると、サンゴ礁や干潟の水槽展示があり、その先には日本海の魚が泳ぐ大水槽が広がる。マリントンネルでは海中にいるような体験もできる。イルカのパフォーマンスが行われるドルフィンスタジアムやペンギンが歩くペンギン海岸も大人気だ。
[DATA]
住所:新潟県新潟市中央区西船見町5932-445
アクセス:JR新潟駅から水族館線バスで終点下車すぐ
時間:9:00~17:00(券売は閉館30分前まで)
休館日:12月29日~1月1日、3月の第1木曜とその翌日
公式サイト
新潟市旧齋藤家別邸
JR新潟駅万代口から新潟交通バスで約10分のバス停西大畑から新潟大神宮方面へ歩き、白壁通へ入ったすぐ左に木造りの風情ある門構えが見えてくる。明治から昭和初期にかけて、新潟の三大財閥のひとつに数えられ、衆議院や貴族院の議員を歴任した豪商が建てた別荘。細部までデザインにこだわった建物も見ごたえがあるが、滝や池が配された回遊式庭園も見事。建物内から、また庭園内のビュースポットから変化に富んだ景色が楽しめる。
[DATA]
住所:新潟県新潟市中央区西大畑町576
アクセス:JR新潟駅から浜浦町線バスで西大畑下車、徒歩6分
時間:4~9月9:30~18:00、10~3月9:30~17:00
休館日:月曜(休日の場合は開館、火曜休館)、休日の翌日(土日の場合は開館、火曜休館)、年末年始(12月28日~1月3日)
公式サイト
北方文化博物館新潟分館
新潟市旧齋藤家別邸を出て白壁通を右に進み、交差点を左に曲がったすぐ先に建つ。建物は19世紀末の建築で、1928(昭和3)年建築の洋館が隣接している。この洋館では新潟出身の歌人、會津八一が1946(昭和21)年から亡くなる1956(昭和31)まで10年を過ごした。館内には會津八一や同館が集めた新潟出身の良寛和尚関連の資料が展示されている。庭園も必見。なお、本館は新潟の南、駅から車で30分ほどの江南区にある。
[DATA]
住所:新潟県新潟市中央区南浜通2-562
アクセス:JR新潟駅から浜浦町線バスで西大畑下車、徒歩3分
時間:4~11月9:30~17:00、12~3月9:30~16:30
定休日:月曜、年末、1~2月
公式サイト
新潟で訪れたのはこちらの店
縁
新潟でハイボールと旨い料理と言えばココ
JR新潟駅万代口から続く東大通から1本左、飲食店が並ぶ通りの左に丸い「縁」の看板が見えてくる。駅からは徒歩3分ほどの距離だ。15席ほどのカウンター席が中心の店内、その真ん中あたりに座った金子は「メニューのネーミングがおもしろいですね」と店長の渡邊裕也さんと話している。目の前には「黒豚メンチカツ」、「うめっ手羽」、「串揚げ」が出てきた。メニューには「ハイボールが美味しくなる!! 三大名物」とうたわれている。メンチカツに使われているのは鹿児島産六白黒豚。「何もつけずに食べてみてください」と渡邊さんにすすめられ、金子は大きな俵型のメンチカツにかぶりついた。「甘みがとても強いですね。衣もとっても薄い」肉は80g使っていて、火が均等に入る現在の俵型となった。衣は極限まで薄くし、肉そのものの旨さを直接感じられるようにしている。「脂の甘み、強いでしょう」そのとき店に入ってきた男性が、そう言って豪快に笑った。
ハイボールに合わせたメニュー
「脂の甘みが強い80㎏未満の若いメスを使っているんですよ。脂の融点が低いので、胃にもたれることもありません」そう続けたのは、代表取締役の小林友美さん。ほかにも中華料理店など計5店舗を運営し、黒豚は月4~6頭を1頭買いしているという。「黒豚メンチカツ」は店を代表する名物のひとつ。これ目当てに来店する客は多い。全体のメニューは多彩だが、ハイボールに合わせた揚げ物が主体となっている。カウンターでは、渡邊さんが「うめっ手羽」の食べ方を金子にレクチャーしていた。身と羽の間に切れ目が入っていて、羽部分をひねると身から簡単に外れる。「ごまが香ばしくて甘みも最高です」金子はとても満足そうだ。串揚げは15種類そろっていて迷うが、そんなときはおまかせの盛合わせがベスト。店オリジナルの黒酢ソースでいただく。「さっぱりとした酸味がいいだけではなく深い味わいです。本当にハイボールにぴったりですよ」金子はうれしそうにそう言った。
店を始めるときは「怖かった」
店には名物ハイボールも多い。「もも太郎ハイボール」は地元の名物アイス「もも太郎」を入れたもの。ほかにも気になるハイボールがあるが、店の代名詞は通常の3倍はある「ジャイアントハイボール」。店の壁には客の記録が貼りだされていて、最高はなんと12杯だ。店をオープンしたのは17年前の2006年。「ハイボールと旨い料理の店として始めましたが、正直、最初は怖かったです」と小林さんは笑う。日本酒王国ともいえる新潟。ここでハイボールだけの店を開いた。当時は今と違い、ハイボールそのものがまだまだ知られていなかった時代。最初は怒り出す客もいた。それが時間をかけて口コミで知られるようになっていったという。「今では女性一人のお客様も増えましたねぇ」小林さんは感慨深げな目になった。小林さんの大きなチャレンジは、時代が追いついてくるかたちで20年近くの歳月をかけて実ったわけだ。店は「新潟でハイボールと言えばココ」として定着している。
店主おススメの頂店ハイボールのアテ!
※値段はすべて税込み
〈おススメ①〉
黒豚メンチカツ 330円
鹿児島県産の六白黒豚を使用した贅沢な名物メニュー。ボリュームたっぷりのメンチカツが2個でこの値段はかなりリーズナブルだ。衣がとても薄いため、肉の食感をダイナミックに楽しめる。見た目よりも食べ応えがあり、これ1品でも結構お腹が満足できる。数量限定の「黒豚チーズメンチカツ」(385円)も人気。
〈おススメ②〉
うめっ手羽(1人前3本) 495円
1人前(3本)単位で味付けが変えられる。店のおすすめは「甘だれブラックペッパー」たれの甘みにごまの香ばしさが加わり、コショウのピリッとした後味も印象的。ほかに「レモン塩」「ガーリック塩」「韓国一味」「カレーコンソメ」「刻みワサビ」が用意されている。どれもハイボールと試したくなる味ばかりだ。
〈おススメ③〉
串盛り合わせ(5本) 880円
この日の盛り合わせは、左から「うずらウインナー」(187円)、「帆立」「黒豚ロース」「黒豚トマト」(いずれも253円)、「レンコン」(187円)。ほかに「白身魚」「レバー」「紅ショウガ」など計15種類の串揚げがある。黒酢と醤油をベースにした中華風の店オリジナルソースがハイボールと相性抜群だ。
金子の取材メモ
サクサク&ジューシーな黒豚メンチカツに、秘伝の甘ダレがやみつきになるうめっ手羽と、黒酢ソースでさっぱりいただける串揚げ。お店の三大名物との相性が最高すぎて、ついつい「頂点ハイボール」が進みます!
訪れた頂店
- 縁(ENISHI)
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